2027年の衝撃、消費税1%時代を生き抜く「生産者」と「直売所」のサバイバル戦術 【後編】

食料品消費税1%決定。生き残るための「即効処方箋」の準備と考え方

前回【前編】では、2027年4月から始まる「食料品消費税1%」が、いかに生産者(小規模農家)の手取りを削り、経営を圧迫するかという「三重苦」の正体についてお伝えしました。

「仕入れ10%・販売1%」という地獄の逆ざや構造の中、これまでと同じ利益を確保するためには、仮に野菜作りの原価(変動費)を20%と設定した場合では、現在(消費税8%)と同じ粗利金額と消費税を確保するためには、現在の売上の約109%の伸長が必要になるという、非常に厳しい現実が浮かび上がっています。

粗利比率が「80%」の場合の計算式です。

  • 目標金額(粗利+消費税): 8,800円

  • 粗利比率: 80%(0.8)

  • 新消費税率: 1%(0.01)

【計算式】8,800÷ (0.8 + 0.01) = 10,864.19..

では、私たちはただ指をくわえてその時を待つしかないのでしょうか?

補助金の発表を期待して毎日、新聞やネットの情報に一喜一憂するしかないのでしょうか?

答えは「ノー」です。今から準備を始めれば、この危機を「経営体質を強化するチャンス」に変えることができます。今回は、店舗スタッフと生産者が明日からすぐに準備取り組むべき、5つの具体的な生き残り戦略を解説します。

明日から実践!収益を守る5つのアクションプラン

① 直売所の販売手数料体系の見直し

生産者の手取りが物理的に減る以上、これまでの「一律〇%」という手数料体系だけでは共倒れになるリスクがあります。

  •  出荷量や品質、または店舗への貢献度(特設コーナーへの協力など)に応じた段階的な手数料の設定も一定の範囲、予算の中で検討する余地ありです。全員一律というよりは、一定期間、生産者の旗振り役になってくれる生産者、イベントへの参加者、紹介キャンペーンなど【緊急減税対策店舗活性化】の特別対策として。店舗側からこのような提案があると、生産者は「自分でも動かないと本当にヤバい」「この店は我々の事を真剣に考えてくれている」など、絵に描いた餅では無く、生産者と店舗側との危機意識や結束に役立ちます。

  • 資材の共同購入によるコスト削減支援など、生産者の手残りを最大化する「新しいパートナーシップ」を検討しましょう。今まで、生産者ごとバラバラに注文していた資材や肥料、農薬など。勿論、全てではありません。複数人購入していることが判明した、上位1~2品目。毎月1回などルールを決めて店舗側が窓口として一括発注。お互いに(生産者、資材業者)生産性向上のメリットが期待され、プライスダウンや発注の手間削減など効果もあるかも。

② 加工品比率の向上と価格の見直し

生鮮食品は1%になりますが、一部の加工品は付加価値を乗せやすい領域です。

  • 規格外品を捨てるのではなく、「乾燥野菜、ジャム、惣菜」などに加工して販売します。加工によって「保存性」と「単価」を高め、税率の差を付加価値で飲み込む戦略です。生産者同士でお互いの規格外生産物や大量生産商品(特定期間のみ)などの融通を高めて、原価ダウンを実現。そのためには店舗側で音頭を取り、規格外生産物情報の収集や集計、発表などのコミニケーションと連携が必要。今はスプレッドシートなど無料で使用出来るツールもあるので活用してみるのはいかがでしょうか。

  • この機会に、再度価格の見直しを各自検討。産直品=低価格では無く、産直品=付加価値=適正価格の意識づけ、習慣化。商品全てで無くてもOK。先ずは我が生産品で一番付加価値高い商品1~2品から価格改定を検討。取り組み易い事例としては、「量目変更(ダウン)」「容器変更(コストダウン)」「イメージ演出強化(ブランディング)」「販売方法変更(バラ主体からセット、箱販売へ)」など。

③ 高付加価値商品のブランディング

「安いから買う」客層は、1%減税を値引きとして要求してくるかもしれません。しかし「価値があるから買う」客層は違います。

  • 「誰が、どう作ったか」というストーリーを徹底して可視化します。特定の栽培法や希少品種など、「ここでしか買えない理由」を作ることで、価格競争から脱却。以前はコトPOPのような生産者の「こだわり」等を細々とカラーPOPなどで売場表現していました。しかし、カラーPOPなどは手間も費用も掛かるし、そもそもプリンターが無い生産者も少なくありません。今時点、私自身でのおススメは①「スマホでショート動画を撮影」QRコード貼付 ②「インフォグラフィック(情報と画像の1枚ものの合体シート)」生産者の歴史や想い、活動(食育とか)をPR。今の時代、無料AIで簡単に作成できます。

④ 出荷・販売での廃棄ロス削減

売上の1割アップが難しいなら、「捨てていた1割」を現金化するのが最も近道です。

  •  データに基づいた販売計画を生産者と共有し、過剰出荷を抑える。もしくは欠品売切れなどの「チャンスロス」を極力減らせる体制づくり。あるいは、商品価値=価格一致の動線を確立し、売場の移動(売れていなくても365日同じ陳列場所)、値引きをタイムリーに行う体制づくり(目利き)。廃棄(=利益の損失)をゼロに近づけます。

⑤ 売れる売り場づくりによる販売数量・客単価の増加

1人のお客様が「もう一品」手に取ってくれる工夫を凝らします。

  •  関連販売(例:ナスと麻婆豆腐の素を並べる)や試食マラソン、レシピ提案を強化し、ついで買いを誘発。ワクワクする売り場は、客単価を自然に押し上げます。特に入店後の数秒間の印象が購買意欲に繋がります。手ぶらが→買い物カゴ持参に。買い物カゴが→カート車に。この購買行動に繋げるだけで、客単価は3倍アップします。入店時に「ワクワク(期待)」「ドキドキ(珍発見)」をどれだけ体感して貰えるか。新規客は勿論ですが、毎週来店されているリピーター客が「前回とまた一緒・・・」とマンネリ素通りされない様、「メリハリ感」がポイント!。これが何ヶ所あったかが、売れる売場づくりの基本だと思います。

最後に:勝負を決めるのは「今」からの3ヶ月

新消費税1%開始まで、まだ半年以上あります。しかし、今からその4月を見据えた対策や企画を、生産者と現場が一体になって準備していくことが何よりも大切です。

特に、お盆明けの9月から11月までの期間に、どれだけ皆さんが危機感を持って具体策に取り組めるか。この3ヶ月間の準備の質によって、来年の4月以降に販売と生産を計画的に安定して行えるか、あるいは廃業や店舗縮小、閉鎖の危機に立たされるかが決定します。

特に2月は消費税準備でバタバタ、3月は減税前ということで、過去に無かったくらいの大幅な買い控えが想定されます。(米や酒、食品ギフトなど高単価な物ほど)。「減税1ヶ月前対策」なども実際は必要かと思います。

4月はその反動で、前半消費は活発化するでしょう。問題はその後です。4月後半からGW~6月、消費が落ち着いてきてしまうと▲7%の減税デメリットが顕著に。天候被害や災害なども重なれば更に不安です。

「まだ先のこと」ではありません。今、目の前にある課題を生産者とスタッフで共有し、地域農業を守るための第一歩を踏み出しましょう!

そのためにも、道の駅や農産物直売所、食品スーパーなど「産直売場施設側」から、生産者側へ声を掛け、施設側主導でミーティングや減税対策につながる勉強会などを開催してみたらいかがでしょうか。

今なら、まだ間に合いますよ(^^♪

次回ブログは、【直売所・産直コーナの売場レイアウトのメリハリ論】です。

今回にも関連しますので、お楽しみに!

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